先日、かねてからの念願だった沖ノ島へ行くことが出来た。玄界灘に浮かぶ沖ノ島は半径50キロに渡って周りに島の無い絶海の孤島。古代の祭儀の痕跡がそのまま保存してある女人禁制、一般人の上陸もほぼ許されていない神の島。
島からは一草一石持ち出してはならない。上陸前に裸になって海に浸かり禊ぎをする。島の様子は話してはならないという昔からの言い伝えがあるそうだ。僕も臆病者なのでこの場で記述するのは避けるが、島の聖地に向かうため森を歩くと古代にタイムスリップしたような気分になれた。船に乗ってからも後部デッキから遠くに霞んでゆく島影をながめていた。ベタ凪の水平線と青い島の輪郭と雲のない空。それらの関係がとても綺麗で思わず手帳の空白にボールペンでスケッチしていた。