2014.10.28

初の個展を終えて色々な思いが自分の中に漂っているが、その中の非常に大切な事柄について書いてみたい。

ギャラリーマルヒでの個展が決まりテーマを考えている時に、ギャラリーが東京の中でも格式高い根津神社のお膝元に位置していることに気付いた。僕も実はその時まで根津神社の御祭神がスサノオノミコトだとは知らず、境内に足を運んだことさえなかったのだが、スサノオとヤマタノオロチという神話の世界にとても心惹かれ個展のメインテーマに据えることにした。

その後個展に来られた方々とお話をする際に根津神社は知っていてもスサノオが奉られているということを知らない方が意外に多いことを知った。その度に根津神社やスサノオのことを来てくださった人に説明するにつれ、なるほど僕はスサノオ像を作ったのではなく作らされたのだと感じた。僕は根津神社やスサノオのことを皆に考えてもらう為の媒体になったのだ。人形師として非常に重要な経験を積めたと思う。人形師は表現者である前に純粋な媒体であるべきなのだろう。亡き祖父の「自分で作っていると思うな、作らされていると思え」という言葉を会期中ずっと憶い出していた。