2014.11.25

福岡市美術館にて「更紗の時代」という展覧会を見た。なんとか最終日にすべり込んだ。更紗はもともとインドの伝統的な染色布なのだが古くから貿易品として珍重され、アジア各地、日本、ヨーロッパ、さらにはアフリカまで運ばれその土地々々で愛されてきた。退色を防ぐ為に普段よりかなり暗く設定された会場には驚くほど精細な文様の更紗たちがその美しさを誇るようにして並んでいた。色彩が鮮やかすぎて暗さはほとんど気にならなかった。

会場の解説の中にとても印象深い一文があった。ヨーロッパから発注されるようになった更紗にインドの職人達は独自の植物文様を描き埋め尽くした。しかし、その草花達は、世界のどこにも存在せず、また、どの神話にも登場しない植物だったという。そのため、インド更紗は世界の誰にとっても異国風で魅力的だったのだそうだ。

「世界の誰にとっても異国風」

そういえば僕もそんな人形を作りたかった。ここではないどこかにきっと居そうな、でもどこにもいない人。