2015.3.3

はじめて取り組んだ雛人形がようやく形になった。

ことのはじめは娘に雛人形を送りたいという依頼が二つ入ったからだった。

雛もまた娘を思う親心が具現化したものだと思う。
古典の模倣から入り、形、顔、模様、サイズ等一つ一つ吟味しながら色違いの二組の立雛をこしらえた。
古い良いものには時代を飛び越えてこちらに訴えかける力がある。雛人形の美しさは江戸時代に生まれ江戸時代に完成したと思う。だから、今の時代に僕が雛に対して出来たのは古き良きお雛様方に胸を借りてディテールの吟味選択とサイズの調整、

あとはいかに清潔に仕上げられるかということだった。

そうして出来上がった二組の雛人形をみてみると不思議なモダンさをまとっていた。

願わくばこの僕の雛達には、二人の女性のそばで末永く彼女達を見守り続けるという役目を全うしてほしい。